ひみつの琴子さん【修正 & side story完結】
今日も昨晩の残り物+αだ。
煮込みハンバーグと温野菜、デザートはシンプルに林檎だ。


パクッ…


うん。幸せだ。


ぼんやり中庭を見ながらお弁当を食べる


あ…矢神さんだ。


テラス席から、少し離れたベンチ近くに立ってる矢神さんがいた。


あの日、矢神さんが嫌ってほど冷やしてくれたおかげで、手首は腫れることなく今ではすっかりアザも消えた。

同じ社屋にいるというのに、矢神さんに全く会えずにいた。


お礼…行ってこよう。


カサ、カサ、、、


赤や黄色の落ち葉が靴底で鳴る。


「矢が…み……」


矢神さん…と呼びかけようとしたところで、もう一人そこにいることに気付く。

思わず木の陰に隠れる。


「…っ!」


綺麗な女の人を、ぐいっと引き寄せ抱きしめる矢神さんがいた。


「……」


足が地面に縫い付けられたように動かない。












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