ひみつの琴子さん【修正 & side story完結】

婚約者

♪〜♪〜♪♪〜〜

お昼休みだ。

「鈴村さん。お昼休憩に行ってまいります」

と席を立つ。

「平川さん。
今日は、中庭ですか?社食ですか?」

鈴村さんが尋ねてくる。

「外へ行きますよ?」


あの日から、矢神さんに会いたくなくて…いや、会いたいけど、会って普通に話せる自信が全くない。

それに、彼女と一緒にいるかもしれない矢神さんを見たくなくて、中庭に行っていない。

手当てをしてもらったお礼を、直接言う自信がない私は、矢神さんの不在時を狙って、人事課の矢神さんの席にお礼のお手紙を置いてきてた。

文字だけなら、自分の心を偽ることができるから。


はあぁぁ…


会社近くのコーヒーショップで、サンドウィッチとホットコーヒーを飲む。


窓越しに通りを眺める。

通りの店先は、クリスマスを意識したディスプレイだ。

クリスマスか。

いつも帰宅が遅い父も、クリスマスだけは早く帰ってきてくれた。

毎年、この日の夜だけは三人で過ごした

私は、母を手伝い、ミートローフやスープ、サラダ…頑張って作ったな。

クリスマスケーキも母の手作りだった。







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