ひみつの琴子さん【修正 & side story完結】
父が亡くなってからも、父を忘れたくなくて母と二人…毎年お祝いした。

転校のことで、母との関係は良くはなかったけど、この日だけは協力してお料理を作った。


もうすぐ父の命日だ。


一つでも、父が喜ぶような報告をしたい


ブーブーブー

スマホのアラームが振動する。


もうすぐ昼休みが終わる。

よいしょとスツールから下りる。


店を後にした私は、んーーっと伸びをしながら会社への道を急いだ。


……っ!


大通りに面した有名ジュエリーショップ

全面ガラス張りの店内を、何気なく…
本当に何気なく目をやった先に、彼女の肩にそっと手を置き、ショーケースをのぞき込む矢神さんがいた。


左手だ…

矢神さんは、彼女の左手を手に取りながら、何かを言ってる。


婚約指輪だ…







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