ひみつの琴子さん【修正 & side story完結】
「いらっしゃいませ……琴子?」


大学を卒業する年に会って以来の母は、相変わらずイキイキとお店を切り盛りしていた。


「きゃあー、相変わらず綺麗ね。さすが私の娘だ」


「…お母さん、突っ込みようがないこと言うのやめて。聞いてる方が恥ずかしい」


父が亡くなって、三年くらいは、今にも壊れそうなくらい儚げだった母も、今ではこんな軽口が叩けるほど回復した。


当時は、父の死を話題にすることすら出来なくて、避けていた。


今なら、聞ける。




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