ひみつの琴子さん【修正 & side story完結】
その後、業務の引き継ぎ書類をバタバタと作成し、定時に終了する。

更衣室で、後ろに一つにまとめていた髪をほどき、メイクをし直す。


もう退職するし、潔く認めてさよならを
しよう。


中庭の、矢神さんに初めて会ったベンチに腰掛ける。


『出し巻き玉子、食べたいですか?』


『いいのか?』

パァーと、子どものように喜んだ顔。


『…美味しいな。ご馳走様でした』

と軽く手を合わせた礼儀正しい人。


はあぁ…


『お互い様だ。俺たちだけの秘密な?』

そう言った偉そうな俺様のような顔。


ここに座っていると、走馬灯のようにいろんな矢神さんを思い出す。

彼女がお兄さんの婚約者というのは分かったけど、その彼女と抱き合ってた。

お兄さんの婚約者のことが好きなの?


はあぁ…



私には関係ないことだ。



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