ひみつの琴子さん【修正 & side story完結】
約束の時間を30分過ぎた。

何かあったのかな…そもそも、
聞き間違いだったかもしれない。


中庭のイルミネーション…

目に焼き付けておこう。もう今日で最後だから。

・・・・・

さらに一時間が経つ。


『さよなら』


メモに走り書きし、ベンチに挟む。


通用口から外へ出た私は、会社を振り返る

「お父さんの会社…みんなが頑張ってくれてるよ。だから安心して」

高くそびえ立つ社屋を見上げた。




会社の前で、タクシーを拾う。

アパートは引き払った。

「東京駅までお願いします」

もう、ここへ来ることはない。


タクシーの窓越しに、人事課のある7階を見つめる。


「さよなら。矢神さん……好き」

小さくつぶやいた。

目を閉じる。
矢神さんが優しく微笑んだ。、

「……っ」

一筋の涙が頬を伝った。





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