ひみつの琴子さん【修正 & side story完結】
「お疲れさまです。矢神部長…どうしたんです?なんか…急いでるようですが」


琴子の隣にいる男…鈴村秘書が涼しい顔をして、俺に話しかける。


年上の余裕ってヤツか?


「いえ…ちょっと…」


気の利いた言葉が出てこず、口ごもる。


「…じゃ、倉本さん。ありがとう。
おかげでいい買い物ができたよ。
矢神部長が来たなら、ちょうどいい。
気を付けて、帰って下さいね」

「はい。奥様…きっと喜んで下さると思いますよ」

「……」

コツ…

言葉を発しない俺に、

「そんな怖い顔しないで下さい。
愛しい琴子さんが怯えてしまいますよ?」

ニヤリと嫌な笑みを寄越し、鈴村秘書は会社の方へ帰って行った。


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