ひみつの琴子さん【修正 & side story完結】
藤枝さんの隣に腰掛け、

「藤枝さん、お食事は?」

「夕方…サンドウィッチをつまんだ。
それより、ずっと連絡できなくて、会いに来れなくてごめん。ようやく、片付いた」

飲み終えたスープボウルをテーブルに置いた藤枝さんが、胸ポケットから小さな箱を出す。


「河田 万里さん」

真剣な表情で、私を見つめる。


「はい!」

思わず、姿勢を正す。


「俺と結婚してください」


藤枝さんが、リボンを解き、指輪ケースを差し出し、私の左薬指をそっと撫でる。


「数ヶ月前まで、この先、愛しいと思える存在が現れるわけないと、思っていた。

けど、壊れそうな君を見て、俺が守りたいと思った。

このマンションの前で、腕をつかまれてる君を見て、あの男を殴り倒してやろうと思ったくらい、腹が立った。君に….触るなと」


真剣な眼差しに、また背筋がピンと伸びる。
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