ひみつの琴子さん【修正 & side story完結】
彼女の周りには、見えない壁がある。

踏み込まれないよう壁を作り、自身を鎧でガチガチに守っている。

こっちが変化球を投げてみても、わざとはぐらかす。

笑ったところを見たことがない。

彼女が笑いころげるところを見てみたい

無表情な女の子が、崩れるところを見たい。初めはそんなきっかけだった。

事あるごとに、彼女に絡んでいた。

同期のヤツに、『おまえ、平川さん狙いなのか?随分と地味な女の子が好きなんだな?』などと呆れられた。

「地味じゃねぇよ」

平川のことを悪く言われるのが嫌で、思わず言い返していた。


平川 琴子…

その鎧を剥がしてやるんだ。

俺の手で。



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