君の顔が消える前に
序章
「おはよう」
俺はカーテンを開き外に向かって言う。
中学祭の頃からやっているので今ではもう日課だ。
朝日を見ると気分が落ち着く。
俺は矢吹 健(やぶき たける)17歳
人と話すよりも空を見たりして方が好きなタイプの人だ。

今日の空はとてもきれいな色をしている。
気分が落ち着くような水色、遠くの方には薄い白い雲が見えた。
「よし、今日も一日頑張ろう!」
俺は外を見終わり壁にかけてある時計を見ると・・・
時刻は7:55分。

今日は始業式だから8:20分には学校にいないといけないのだ。
家から学校まで20以上は確実にかかってしまう。
俺はとりあえず急いで学校の支度をした。

急いで支度して家を出ると家の前にはいつものように待ってる人がいた。
「琴李何してんだよ。」
比奈田琴李俺と同じ17歳で俺の幼なじみだ。いつも俺と一緒に学校へ行くために待ってるが、今日も待ってるとは思わなかった。
「何って健を待ってたに決まってるじゃん。」
平然とした顔で琴李は言うが、こいつは今何時が知ってるのだろうか。
「お前今日集合8:20分だって知ってるか?早く行かないと遅刻するぞ。」
琴李は首を傾げて初耳のような顔をしていた。
俺は琴李の手を握り学校へ向かって走り出した。
「え、ちょっと健!?」
「ちょっと、健ってば!」
琴李は手を振り払い手首を抑えた。
「お前、早くしないと遅刻するって!今日遅刻は流石にまずいだろ。」
琴李ははぁとため息をついて俺に言った。
「先生は8:20分までって言ったけど、それ私と健だけだから!」
え?・・・
ポカンとした俺の顔を見て琴李はため息をついて説明し出した。
どうやら俺と琴李は遅刻の常習犯だから先生が時間を早めていたらしい。
本当の集合時間は9:00で今からゆっくり歩いても間に合う時刻だ。
つまり、まんまと先生の罠にハマるとこだったってわけだ。
隣を歩いてる琴李は手が痛いだのぶつぶつ文句を言っている。
「後でなんか買ってやるからブツブツ言うなよ。」
その瞬間、琴李は手首をさするのをやめて不敵な笑みを浮かべた。
・・・嫌な予感しかしない。
「じゃあ、今日お昼ご飯忘れたんだよねー。お昼ご飯とジュース買ってもらおうかなー。」
「おいおい、冗談だろ?お前のお昼ご飯買うとかいくらかかるんだよ・・・。」
琴李は大食いで有名だ。
学食のボリュームたっぷりの日替わり定食を2個頼むほど。
「健が何でも買ってくれるって言ったんでしょー?約束は守ってね。」
琴李はお昼ご飯が楽しみなのか笑顔で通学路を歩く。
「金もっとたくさん持ってくればよかった。」

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