好きとか絶対ありえへんっ
「あ、そうや


あたし今日お父さん誕生日やった!

やから帰らないと!


ごめん!奈美!


ばいばーい!!」



「え!ちょっと!歩夢…」


教室から奈美の声が聞こえた気がしたけど、気づかんふりして廊下を走り抜けた。



もちろんお父さんの誕生日なんて嘘。


今の状態のあたしやったらきっと奈美に迷惑かけっぱなしになってしまうと思う。



「帰ろ」



あたしは靴を履き替えて、帰路を歩いた


1人で歩くのはいつものことやのに、今日は無性にむなしく感じたーー



そして、今日を境に、拓人があたしに話しかけることもなくなった。
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