オフィス・ラブ #another code
背中に彼女の腕が回る。

ぎゅっとしがみついてくる愛おしさに、身体が熱くなり、腕に力がこもった。


会いたかった。

お前もだろう?


なら、言わなきゃダメだ。


涙の味の唇を、離れていた期間を取り戻すように、ゆっくりと味わいながら。

後で叱ってやらないと、と考えた。


言わなきゃわからないし。

聞こうとしなけりゃ、伝わらない。


そんな当然のことが、どうしてわからない。

あれだけ言ったのに、どうして守れない。


仕方ない、と思った。

言わずもがなの事柄を明文化するのは、子供じみて、あまり好みではなかったのだけれど。

背に腹はかえられない。

こいつがこんなにふらふらであてにならないのが、悪いのだ。


ルールをつくろう。



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