オフィス・ラブ #another code
あげたいもの。
以前話題になってから、時折ふっと脳裏に浮かぶようになったその言葉は、いつの間にかだんだんと、新庄の中で像を結んでいった。
自分があげたいのは、たぶん、なんというか、約束のようなものだ。
何か、それがあれば彼女が安心するような。
そんな感じのものだ。
だけど、そんな具体性のないものを、プレゼントと贈るわけにもいかない。
どうしようか、と考えている時、ひらめいたのは高木の結婚式だった。
指輪。
指輪の意味は、約束だ。
ちょうどいい、それを贈ろう。
何か、彼女の望む、なんでもいいから、約束を。
誰に対しても、しようと思ったことすらない、約束を。
恵利に、あげよう。
なぜか彼女はまたしても泣き、約束の内容は自分が考えることになった。
何が食べたいかと訊かれて、なんでもいいと答えると怒るくせに、自分は言うんだな、と。
まったく関係ないことが頭に浮かんだ。