オフィス・ラブ #another code
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────────…
予定よりさらに早く会社を出ることができた。
夕食をつくっている頃だろう、彼女にメールを入れる。
すぐに、了解しました、と返信が来た。
携帯を閉じて胸ポケットに入れたところで、もう一度振動が来て、再度開く。
『気をつけて、帰ってきてくださいね』
思わず笑みがこぼれた。
彼女なりに、いろいろと変わるべく、頑張っているらしい。
けれど自分に課された課題を思い、笑っている場合じゃないと気を引きしめた。
なんせ自分は。
彼女に「ちゃんと」言わねばならないのだ。
一緒に暮らしたいと思いはじめたのは、たぶん出向の話が出るより前だった気がする。
当時、かなり家が離れているという不便さもあり、互いに多忙で、会う時間を確保するのが大変ということもあり。
また過去の事件を思い返すに、彼女をいつまでもひとりで住まわせておくのが嫌というのもあった。
しかし、つきつめて考えてみれば。
自分は結局、好きなものは手元に置いておきたい性分なのかもしれない。
ムードムードとうるさい彼女のことだから、変な言いかたをしたらへそを曲げるに決まっている。
けれど、こういうことを計画的に行うのがどうにも苦手な新庄は。
あまり深く考えず、時が来たら勝手に言葉が出るだろう、と気楽に構えることにしていた。
要は、正直であることだ。
その感覚は、間違っていなかった。
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予定よりさらに早く会社を出ることができた。
夕食をつくっている頃だろう、彼女にメールを入れる。
すぐに、了解しました、と返信が来た。
携帯を閉じて胸ポケットに入れたところで、もう一度振動が来て、再度開く。
『気をつけて、帰ってきてくださいね』
思わず笑みがこぼれた。
彼女なりに、いろいろと変わるべく、頑張っているらしい。
けれど自分に課された課題を思い、笑っている場合じゃないと気を引きしめた。
なんせ自分は。
彼女に「ちゃんと」言わねばならないのだ。
一緒に暮らしたいと思いはじめたのは、たぶん出向の話が出るより前だった気がする。
当時、かなり家が離れているという不便さもあり、互いに多忙で、会う時間を確保するのが大変ということもあり。
また過去の事件を思い返すに、彼女をいつまでもひとりで住まわせておくのが嫌というのもあった。
しかし、つきつめて考えてみれば。
自分は結局、好きなものは手元に置いておきたい性分なのかもしれない。
ムードムードとうるさい彼女のことだから、変な言いかたをしたらへそを曲げるに決まっている。
けれど、こういうことを計画的に行うのがどうにも苦手な新庄は。
あまり深く考えず、時が来たら勝手に言葉が出るだろう、と気楽に構えることにしていた。
要は、正直であることだ。
その感覚は、間違っていなかった。