オフィス・ラブ #another code
大事にできるだろうかと、不安に怯えた頃もあった。

けれどいざ、やってみれば。

まあ周囲にも助けられつつ、自分はそれなりに、できていた気がする。



きっと、なるようになるのだ。

なんだって。


自分に正直で、ありさえすれば。




マンションの階段を上がり、部屋の鍵を差しこむ。

すると、足音が聞こえていたんだろう、内側からカコンと鍵の開く音がした。


ドアが開き、何か、料理のいい匂いと共に、恵利が顔を出す。

腕まくりをした恰好の彼女は、ドアを支えたまま新庄を見あげると。



「お帰りなさい」



そう、嬉しそうに笑った。


ああ、と思う。

何度だって、これを聞きたい。

そのたびに自分は、彼女がそばにいることの幸福を、実感するだろう。

愛おしさを、噛みしめるだろう。



寒いですね、と言う恵利に、そうだな、と答えながら玄関に入る。

鞄を廊下に置こうとすると、見あげる恵利と目が合った。


狭いたたきに立つ同士、至近距離に顔があるので、なんの気なしに口づける。

すると、そうじゃなくて、と恵利がむくれた声を出した。



一瞬、ぽかんとその顔を見つめ。

そうか、と気がついた。



そうだな、これも。

何度だって言いたいかもしれない。


慣れないから、つい忘れがちだけれど。



期待する顔の可愛さに、その頭をなでながら、笑った。





「ただいま」






Fin.

──Thank you!



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