オフィス・ラブ #another code
ただでさえ、女との最後が毎度ややこしいことになりがちな自分は、職場にだけはそういう厄介を持ちこみたくなくて。

仕事上つきあいのある女性などから、少しでも気配が感じられた時は、たちどころに関係を遮断してきたのだけれど。


心は自然と、健気な想いをぶつけてきた、あの部下を思う。

結局自分は、持ちこんだことになるのだろうか。



「あの人とまとまらなくて、正直、私は嬉しい」

「そうか」



妹の率直な言葉に、つい吹き出した。

一年ほど前に同居を解消した相手のことだ。

終わってから知ったことには、妹はほぼ初対面の時から、自分たちの関係を危ぶんでいたらしい。

女の勘なのか、兄妹の絆なのか。


煙草をくわえながら考える。

自分はあの時も、やっぱり失敗した。

何かを、うまくできなかったのだ。


なぜなんだろう、何が足りないんだろう。


ふと目に焼けるような熱さを感じて、煙草がずいぶん短くなっていたことに気がついた。

ひと吸いしてから、それを灰皿に押しつける。

箱から次の一本を取り出しながら、あきらめにも似た思いでため息をついた。


きっと自分は。

誰かと生きるようには、できていないのだ。



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