オフィス・ラブ #another code
「プランナーって、そこまでやるのか」
「人によるけど。できたほうが仕事増えて、楽しいだろ」
新庄もバーガーをかじりながら、面白い奴だなあと思った。
勝負好きなわりに、勝ち負けには興味がない様子で、楽したいと言うくせに努力家だ。
要は、ひねくれ者か。
休日出勤中の今日、フロアの人はまばらだった。
企画部署ということもあり、服装はみなカジュアルだ。
他社の人間と会う時は襟つきの服で、というゆるいルールはあるものの。
たいていがデニムにシャツなどで出勤し、いざという時のジャケットを会社に置きっぱなしにしているような環境だった。
気がついたら昼時をだいぶ過ぎていたので、ふたりで昼食を買いに出て、デスクで平らげる。
仕事に戻って少したった頃、隣の席の彼が、はい、と互いの間に携帯を横向きに立て、アンテナを調節した。
「今日は競馬の祭典だよ、こいつが勝てば、史上初の2年連続優勝だよ」
見なきゃ損だって、と言われてつい一緒になって見てしまったそのクラシックレースは。
画素数の粗い、不鮮明な映像ながらも、堤の的確な解説と実況のおかげで、あまり詳しくない新庄もびっくりするほど楽しめた。