オフィス・ラブ #another code
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「最低ですね、新庄さんて」



悔しそうに言う大塚は、純粋に可愛い。


確かに最低かもしれない。

自分でもそう思う。


ふとしたきっかけで初めて家に招いた彼女が、普段は見せない、髪を上げた姿でバルコニーにいるのを見た時。

以前ここに住んでいた存在を、少しばかり意識している様子を見せた時。

つい大人げなく、いたずらを仕掛けたくなった。


素直な彼女は、期待以上に綺麗に引っかかり。

強がって、悔しがって、腹を立てて、最後にどこか安心したようだった。


心の中で詫びる。

中途半端なまま、楽しむだけ楽しんで、申し訳ない、と。


でもそれを許しているのは、大塚だ。

最近は、そんな開き直りに似た思いもあった。


大塚が許すから、自分は図に乗る。


心から悪いと思っているけれど。

もう少し、このままでいさせてほしい。

そのうち何か、つかめる気がするから。



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