オフィス・ラブ #another code
あの時も、こんな冷えこみの厳しい季節だった。
インターチェンジまでの道を走らせながら、あの男の、柔らかく、いつも愉快げな独特の声が思いだされた。
――やるじゃん。
やめよう、と自制した。
せっかくの、夜明け前の爽快なクルーズの最中に、あんな奴のことは思い出したくない。
行く手の空が徐々に白んできているのが見え、ナビは昼前の着を知らせている。
道さえクリアなら1、2時間はまけるだろうと予想しながら、高速に乗った。
大塚のマンションは、首都高を降りて数分のところにある。
1Fにあるコンビニの駐車場に車をすべりこませ、身体をほぐそうとエンジンをつけたまま外に出た。
最初に乗った車が古いターボ車だったせいで、高速で走った後にはこうしてアイドリングさせるのが、もう習慣になっている。
最近の車には、もう必要ないとは、わかっているんだが。
久しぶりに無傷なのが嬉しい、愛する車のドアに寄りかかって煙草をくわえた。
時計を見れば、10時。
思った以上に順調な道のりだった。
一服してから携帯を取り出す。
非常識な時刻ではないと思うが、休日の彼女がどういう生活をしているのかわからず、少しコールして出なければ帰ろうと思った。
番号を呼び出して、通話ボタンを押す。
コール音を聞きながら、打ち合わせの前に少し寝ないとなと考えた。
ふとマンションの入口から人が出てきた気配を感じて、目を上げる。
そこにいたのは、大塚だった。
インターチェンジまでの道を走らせながら、あの男の、柔らかく、いつも愉快げな独特の声が思いだされた。
――やるじゃん。
やめよう、と自制した。
せっかくの、夜明け前の爽快なクルーズの最中に、あんな奴のことは思い出したくない。
行く手の空が徐々に白んできているのが見え、ナビは昼前の着を知らせている。
道さえクリアなら1、2時間はまけるだろうと予想しながら、高速に乗った。
大塚のマンションは、首都高を降りて数分のところにある。
1Fにあるコンビニの駐車場に車をすべりこませ、身体をほぐそうとエンジンをつけたまま外に出た。
最初に乗った車が古いターボ車だったせいで、高速で走った後にはこうしてアイドリングさせるのが、もう習慣になっている。
最近の車には、もう必要ないとは、わかっているんだが。
久しぶりに無傷なのが嬉しい、愛する車のドアに寄りかかって煙草をくわえた。
時計を見れば、10時。
思った以上に順調な道のりだった。
一服してから携帯を取り出す。
非常識な時刻ではないと思うが、休日の彼女がどういう生活をしているのかわからず、少しコールして出なければ帰ろうと思った。
番号を呼び出して、通話ボタンを押す。
コール音を聞きながら、打ち合わせの前に少し寝ないとなと考えた。
ふとマンションの入口から人が出てきた気配を感じて、目を上げる。
そこにいたのは、大塚だった。