オフィス・ラブ #another code
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慌ただしく受けた昇進試験の後、チーフとして戻ったメディアチーム。

その中で、最も年少で、唯一の女性であるメンバーが彼女だった。


だからといって、特別扱いはしないけれど。

まったく同じに扱うことが男女平等ではないことくらい承知していたし。

彼女が、女性としての特長を損ねることなく仕事に精を出している様子は好ましく。

こういう女性が増えれば、女性社員の地位も上がっていくのにと漠然と思っていた。



「新庄さん、バナーのチェック、お願いできますか」

「今行く、コンセか?」

「はい、これがギリギリです」



制作ルームにお願いします、という声が聞こえた頃には、彼女はもうドアの向こうだった。

途中だったメールをさっと書きあげて送信し、後を追う。



「刷り出しの確認は、私が印刷所でします、問題ないでしょうか」

「ない。本間さんは」

「データの段階で、責了をいただいておきました」



たいした段取りだ、この慌ただしい企画の中で。

実物は数メートルのサイズになるイベント用のバナーの、1/4サイズのデジタル校正がテーブルに広げられていた。

引き伸ばされることを想定してチェックするが、特に問題は見当たらない。



「これで進めていい。課長のOKは俺がもらっておく。色の最終調整は、頼む」

「はい」



コンセを巻きあげて、課長承認をもらうためにそれを引きとる。

課長の今日のスケジュールを頭の中でざっとチェックし、夕方戻ってきたところをつかまえようと頭にとめた。

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