オフィス・ラブ #another code
こんな泣きかたをされるくらいなら、自分が痛いほうがよっぽどましだと思った。

つらい思いをさせた。


それでも、何をどう伝えたらいいのかわからない自分は、うん、としか言えなくて。



「ごめん」



ようやく出てきたのは。

ついぞ会社で口にした記憶などない、子供じみた謝罪の言葉だった。


でも、自分には似合いかもしれない。

こんなふうに彼女を追いつめて、まったくそれに気づかず、自分のことで手いっぱいになっていた、そんな自分には。



ごめん、と。

もう一度、心の中で詫びて。


ここが会社でなければ、抱きしめてやれるのにと。

思った。





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