オフィス・ラブ #another code
「奥さんの友達だしなあ」
「そうそう」
なんだか、縁がこんがらかって不思議なことになってきたのを感じる。
あの頃の青かった自分に見せてやりたい、こんな未来を。
もう行かなきゃ、と堤が腕時計を見ながらフェンスから身体を離した。
ベンチに置いていた灰皿を差し出すと、ありがと、と煙草を押しつけてくる。
少し強く吹いた風が、金属の上の灰をさらさらと揺すり、それを押しとどめるように新庄も煙草をもみ消し、灰皿を手に屋上を後にした。
「今度来る時は、連絡よこせよ」
軽やかな足取りで先に階段を下りる背中に言うと。
やだよ。
そう、変わらない声がした。
ACT.II End.