オフィス・ラブ #another code
本人は気づいているのか、いないのか。
彼女には、高まった時のくせがある。
新庄の首に腕を回して、痛いくらいに夢中でしめあげる。
それはもう、こちらがまったく身動きをとれなくなるくらいの力で。
そうなると、もはや物理的に何も続けられなくなってしまうため、新庄は心地いい腕の肌触りを惜しみながらも、苦笑しつつ、なんとかなだめて外させる。
すると彼女は、なんともいえない、心細そうな不服そうな、けれど溶けそうにうるんだ瞳を毎度見せるのだけれど。
それは、日頃さらりとしとやかで落ち着きのある彼女からは、想像もできない姿で。
初めてそれに出会った時には、新鮮さに驚くと共に、あまりの愛らしさについ笑い。
何度も、思うたび口からこぼれた。
可愛い。