落日の楽園(エデン)
「わたし……本当はずっと思ってたの。
この世界が滅びてしまえばいいのにって。
むかし、介弥が言ってた酸の雨。
あれが世界を溶かしてしまえばいいのにって。
そう、思ってた。
ある日ね、天気予報で言うの。
明日、酸の雨が降るから、この世界は終わりだよって。
そうしたら……」
舞はそこで、言葉を止めた。
「……そうしたら?」
と介弥が囁くように聞いた。
「そうしたら―
ずっと、介弥と一緒に居るの。
だって、明日で世界が終わるなら、もう誰も私たちを責めないでしょう?」
無表情だった介弥の顔が崩れた。
声を立てて笑い出す。
「……なっ、なんで笑うのよっ」
私がずっと真剣に考えていたことをっ、と動揺して介弥を睨んだ。
近くまで寄ってきた介弥はまだ、喉の奥で笑いながら呆れたように言った。
「お前らしいな。現実逃避も徹底してる。
でもなんで、『明日』なんだ?」
この世界が滅びてしまえばいいのにって。
むかし、介弥が言ってた酸の雨。
あれが世界を溶かしてしまえばいいのにって。
そう、思ってた。
ある日ね、天気予報で言うの。
明日、酸の雨が降るから、この世界は終わりだよって。
そうしたら……」
舞はそこで、言葉を止めた。
「……そうしたら?」
と介弥が囁くように聞いた。
「そうしたら―
ずっと、介弥と一緒に居るの。
だって、明日で世界が終わるなら、もう誰も私たちを責めないでしょう?」
無表情だった介弥の顔が崩れた。
声を立てて笑い出す。
「……なっ、なんで笑うのよっ」
私がずっと真剣に考えていたことをっ、と動揺して介弥を睨んだ。
近くまで寄ってきた介弥はまだ、喉の奥で笑いながら呆れたように言った。
「お前らしいな。現実逃避も徹底してる。
でもなんで、『明日』なんだ?」