落日の楽園(エデン)
「……取るのやめましょうか?」

 ふいに大きな身体で近づかれ、透子は飛んで逃げる。

 そのとき、いきなり障子が開いた。

 現れた和尚(かずひさ)は、まず一升瓶に目をやり、呆れた顔をする。

「春日が酒抱えてきたっていうから、絶対此処だと思ったんだ」

 帰れ、と胸倉掴まれ、春日は苦笑いしているが、この二人が実はそう仲が悪いわけではないことを知っていた。

 透子は、春日が年下の和尚に怒鳴られるのを聞きながら、ひとり手酌酒を呑んでいた。



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