同居ノススメ


あの場から
解放されたのはいいが、

大して飲食できずに
店を後にした慎太郎は
空腹と闘いながら、

ようやく自宅に着いた。


真っ暗で寒い、
妙に静まり返った自宅。

大抵、桃が先に帰宅していて
部屋を温めてくれていて、

『おかえりー』という声が・・・

今日はない。

それに気がつくと
寂しさがこみ上げてきて

部屋中の全ての明かりをつけて
桃と選んだソファーに
腰を下ろした。


煌々とつけられた明かりの中で
ソファーに座ると
天を仰ぎ、ぼーっと天井を眺める。

少し心は落ち着いたが
体中に走る冷たさと
空虚感に襲われていた。

お腹は空いているはずなのに
何も食べたくない、
何もしたくない。


でも洗濯物とお風呂だけは
どうしても気になって

ようやく腰を上げ

お風呂のスイッチをいれ、
室内干しをされていた洗濯物を
たたみ始めていた。


『桃がココから
いなくなったわけじゃないのに
なんでこんなに寂しいんだろうか?』
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