同居ノススメ

「あぢっ!」と発し、
一瞬にして口の中を
少し火傷してしまった。

その声を聞いて、
桃は急いで氷が一杯入った
麦茶を慎太郎に渡し、

「もぉ!慌てるからー!
ほら、冷やして冷やして!」

といいながら、

慎太郎の向かいに座り

ドリアの器を自分の方へ
引き寄せると

スプーンに一口分の
ドリアを乗せて

「ふーっ、ふーっ」と冷まし、
下唇の下で熱さを確認した。

慎太郎は、
口の中を冷やしながら、
桃の一連の行動に戸惑っていると

有無を言わさず口元に
スプーンが運ばれてきた。

『これはあーんっ、を
としろってことなのか?』と

一瞬で判断すると
少し頬を赤らめながら、
口を開けて、
スプーンを迎え入れた。

口の中に広がった
ドリアの味は
より一層美味しく感じられ
幸せな気持ちになった。

桃は慎太郎の口から
スプーンを引き抜くと

先ほどと同じように一口分
また「ふーっ、ふーっ」
と冷ましていた。

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