同居ノススメ
それから慎太郎は
どうにか声を振り絞り
「ううん、
どこも・・痛くないよ・・
痛いのは、桃、でしょ?
こんなにギブスされてて・・
痛々しいよ。
桃、どこか辛いか?」
と聞く。
「ん・・なんかね・・
体がうまく動かないみたい。
だけど、
痛いところはないよ・・?」と
桃は口角を上げて、笑ってみせた。
慎太郎は、そっと
桃の右手を両手で包み込み、
自分の額に当てると、
「桃・・・
俺と結婚してください。
俺と一緒に幸せになろう」
と涙声でプロポーズをした。
指輪を用意して
海が見えるレストランで
かっこ良く
プロポーズしたかったのに、
全ての
計画をすっ飛ばしたプロポーズ。
桃は、驚き、
喉の奥から鼻にかけて、
ツンっと涙が溢れそうな
感覚と共に
「はい、
わたしを慎太郎のお嫁さんに
してください。
たくさん心配かけちゃって、
ごめんね。
気がついたら今で、
連絡、入れられなくて・・
同居ノススメ、破っちゃったね。
これからもよろしく・・ね?慎太郎」
と答えた。