同居ノススメ
あとすこし・・
もう少し・・
と一生懸命、足を運んで
歩いているつもりだけれど
なかなかどうして自宅は、
近づいてきてくれない。
すると後方から
走り寄ってくる足音とともに
『荷物、持とうか?
さっきから足元が
ふらふらしてるし、
車道に出そうで危ないよ?』
そんな声が聞こえと同時に
両手がふわっと軽くなり
一瞬、体が傾きよろける。
近所に知り合いもいない
独り暮らし。
そんなわたしに声をかけるのは誰?
と頭にハテナマークが浮かびつつ、
荷物を持ってくれた見知らぬ男性。
ぼやける視界の中から、
目を凝らして
よく見てみると、
自分より背が高く、
落ち着いた雰囲気を醸し出す男性。
なんとまあ!と、
おばちゃんのような言葉が
思わず声に出そうなほど
カッコイイ・・・。
少し短めの髪に
襟のパリッとしたシャツ。
でも・・・
普通のサラリーマンには見えない・・
かな?。
いやー久しぶりに
こんなイケメンにご対面しました・・
と、心のなかで
いろいろな想像をめぐらせていると
「これ、どこまで運べばいいの?」
という声に少し慌てて
「えっと・・あそこまで・・」と
自宅のマンションを
指差しながら答えると、
その男性は歩き出してしまった。