同居ノススメ
あまりにビックリして
言葉が出なくなってしまった桃。
「ごめん。少しだけこのまま」
と耳元で囁く慎太郎。
耳から伝わってくる
心臓の音。
その音が、
自分の音なのか、慎太郎の音なのか
よくわからないけど・・・
とにかく速くて、うるさいくらい。
困った・・・非常に困った。
こんなに心臓がうるさくなるのは
久しぶりで、
どうしていいかわからない。
慎太郎の背中に腕を回せば
また一歩進んでしまうのだろう、
と思ったがその一歩が、
いまの桃にはまだ怖い。
桃の両手は
行き場をなくしている。
慎太郎の表情を見てみたいけど
これじゃあ、見られない・・・
すると
慎太郎はゆっくり手を解き、
「はあ!朝の充電完了。
さて、朝ごはんにしよっか!」と
桃の手を取り、ダイニングに
足を向けた。