同居ノススメ
玄関の鍵を開けて、
中の様子をうかがうと
リビングの方から
微かに聞こえてくる
J-pop音楽。
それを口ずさみながら、
体でリズムを取り、
手にはハサミを持ち、
なにやら没頭してる桃の後ろ姿が
目に入ってきた。
その後ろ姿が、
なんとも可愛くもあると同時に
なんとも悔しくなって、
思わず後ろから抱きしめた。
すると桃は固まってしまい
どうやら口をパクパクしている様子。
「あうっ・・うっ・・・
おっ・・・おかえりなさい」と
ようやく言葉を発し、
ゆっくり俺の方に振り返った。
「ただいま、奥さん」
「いつから、見てました?」
『奥さんをスルーしたな』
「ちょっと前から・・」
「うた・・聞きました?」
「えぇ、聞きました。
上手でしたよ、桃さん」というと
桃は耳まで真っ赤になり
自分の耳を塞いだ
「恥ずかしさ、極まりない!」
と。