T.A.B.O.O~満月のPerfect Crime~
それから気付けば告別式も終わり、火葬場に向かった。ぼーっとして、何にも考えられないようにただ美羽の体という器だけがそこに居た。心はもちろん感情などあるはずもない位どこを見ているのか、今自分がどこで何をしているのか、解らない位混乱、いや、寂しさの渦に飲み込まれていた。

それぞれが家に帰り、美羽もマンションに戻った。留守電が入っていたためボタンを押し、聞いていた。

ピーーー…
『うーちゃん…大丈夫?また連絡するね?』
『美羽?困ったことがあったらいつでも話してね?』

そう。留守電は母と乙夏だった。何も考えられないまま、何も聞こえないままベッドに入った。
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