T.A.B.O.O~満月のPerfect Crime~
「急いではないですけど…」

"それなら"といいながらお婆さんは裏に入ってしまった。待つこと数分。香りの良い紅茶をもって帰ってきた。

「ほら、飲むかい?」
「え?」
「そんな力のない顔してたら何にも出来ないわぃね。」
「でも…」
「なぁに、ここも今日を最後に少し休みに入ろうかと思っていたからね。」
「そうなんですか…」
「毒なんぞ入っておらん。話し位聞けるよって。」
「…ッ」

一口紅茶を口に含むと何とも言えない位の花の香りが鼻腔を通りこぼれそうになった涙がスッと消えた。その代わりに和希との楽しい記憶が鮮明に瞼に写った。

「その子かい?お前さんが亡くした相手は」
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