T.A.B.O.O~満月のPerfect Crime~
その言葉を聞いたお婆さんは値札の付かないその商品を手に取った。

「これは特別な物なんだよ。おっと、それはさっきも話したね。これは卵なんだ。」
「…そう…ですね。」

見たままのことを言うお婆さんに首を傾げながら話を聞く美羽。その"卵"とさっきから聞かれている事と全く繋がらない。1本の糸で繋がるどころか、その糸が果てしなく絡み合って行く。この糸が解けるのか…解らないで居た。

「この卵、もってごらん?さぁ。」
「えっと…」
「手を出してごらん」

両手をそっと差し出した美羽のその上にお婆さんは卵を乗せた。すると両手がじんわりと温かくなった。
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