今、鐘が鳴る
泉さんは無言で運転してキッチュなホテルの駐車場に入った。
ここに入るの?
いわゆるラブホテルに入るのがはじめてというわけではないけれど、少なくとも義人さんはもっと綺麗なところを選んだ。
身を固くした私に、泉さんは言った。
「俺は俺や。嫁のもんでも、ガキのもんでも、お前のもんでもない。」
真剣さは伝わってきたけれど、論点がずれてる。
ちょっと笑ってしまった私に、泉さんはカッとしたようだ。
無言で腕を引っ張られて囚人のように連行された。
泉さんは嵐のように私を抱いて堪能した後、そのまま眠ってしまった。
抱き枕のようにぎゅーっとがんじがらめに抱きしめられ……と言うか、タコのように脚までからみつかれて、逃げることもできなかった。
諦めて私も眠っていたけれど、さすがにトイレには行きたい。
そ~っとそ~っと泉さんの四肢を引き剥がして、起こさないように静かにベッドから逃れた。
トイレに行ったついでに、シャワーも浴びてから、バスローブを羽織った。
今日は昼からの講義が1つあったのだけど……もう間に合わない?
スマホで時間を見ると、14時。
泉さんが迎えに来たのが9時頃だったっけ。
せっかくこんなに安らかに眠ってらっしゃるのに、起こしたら悪いかな。
どうしよう。
お腹すいたなぁ。
ルームサービスを取ろうかしら。
案内のファイルを開くと、ピザやカレ-、近くのファミレスやお寿司屋さんやおうどん屋さんのメニューまで準備されていた。
フロントに電話をして、冷めても美味しくいただけそうなお寿司とサンドイッチ、サラダを注文していただいた。
小一時間後、チャイムが鳴って、お料理が届けられた。
「何時?」
お料理を受け取って戻ってくると、泉さんが目覚めたらしい。
「えーと、15時。ごめんなさい、起こしてしまいました?」
泉さんは返事せずに手招きして私を呼び寄せた。
お皿をテーブルに置いてから泉さんのそばに寄ると、泉さんは差し出した両手を私のバスローブの胸元を開いて脇の下に入れて、背中に腕を回して抱き寄せた。
「これ、邪魔。」
バスローブの襟を噛みちぎるように歯で引っ張る泉さん……動物みたい。
確かに素肌で抱き合うのはそれだけでも本当に気持ちいいけれど……
「お食事にしませんか?」
そう言ってみたけれど、泉さんは私の胸に顔を埋めて、また寝てしまったらしい。
赤ちゃんみたい。
諦めて、私も寝る体勢になり、泉さんの頭を抱えて目を閉じた。
17時過ぎに、フロントからの電話がけたたましく鳴った。
「サービスタイム終了?どうでもええわ。追加料金払ろたらええねんろ?」
眠りを妨げられて不機嫌モード満載の泉さんはそう言って電話を叩き切った。
「よく寝ましたね。寝過ぎ?夜、ますます眠れなくなりませんか?これ。」
あくびしながら私も起きた。
「せやな。こんだけ寝たん、久しぶりやわ。……腹減った。」
泉さんは珍しく晴れやかな笑顔を見せた。
ここに入るの?
いわゆるラブホテルに入るのがはじめてというわけではないけれど、少なくとも義人さんはもっと綺麗なところを選んだ。
身を固くした私に、泉さんは言った。
「俺は俺や。嫁のもんでも、ガキのもんでも、お前のもんでもない。」
真剣さは伝わってきたけれど、論点がずれてる。
ちょっと笑ってしまった私に、泉さんはカッとしたようだ。
無言で腕を引っ張られて囚人のように連行された。
泉さんは嵐のように私を抱いて堪能した後、そのまま眠ってしまった。
抱き枕のようにぎゅーっとがんじがらめに抱きしめられ……と言うか、タコのように脚までからみつかれて、逃げることもできなかった。
諦めて私も眠っていたけれど、さすがにトイレには行きたい。
そ~っとそ~っと泉さんの四肢を引き剥がして、起こさないように静かにベッドから逃れた。
トイレに行ったついでに、シャワーも浴びてから、バスローブを羽織った。
今日は昼からの講義が1つあったのだけど……もう間に合わない?
スマホで時間を見ると、14時。
泉さんが迎えに来たのが9時頃だったっけ。
せっかくこんなに安らかに眠ってらっしゃるのに、起こしたら悪いかな。
どうしよう。
お腹すいたなぁ。
ルームサービスを取ろうかしら。
案内のファイルを開くと、ピザやカレ-、近くのファミレスやお寿司屋さんやおうどん屋さんのメニューまで準備されていた。
フロントに電話をして、冷めても美味しくいただけそうなお寿司とサンドイッチ、サラダを注文していただいた。
小一時間後、チャイムが鳴って、お料理が届けられた。
「何時?」
お料理を受け取って戻ってくると、泉さんが目覚めたらしい。
「えーと、15時。ごめんなさい、起こしてしまいました?」
泉さんは返事せずに手招きして私を呼び寄せた。
お皿をテーブルに置いてから泉さんのそばに寄ると、泉さんは差し出した両手を私のバスローブの胸元を開いて脇の下に入れて、背中に腕を回して抱き寄せた。
「これ、邪魔。」
バスローブの襟を噛みちぎるように歯で引っ張る泉さん……動物みたい。
確かに素肌で抱き合うのはそれだけでも本当に気持ちいいけれど……
「お食事にしませんか?」
そう言ってみたけれど、泉さんは私の胸に顔を埋めて、また寝てしまったらしい。
赤ちゃんみたい。
諦めて、私も寝る体勢になり、泉さんの頭を抱えて目を閉じた。
17時過ぎに、フロントからの電話がけたたましく鳴った。
「サービスタイム終了?どうでもええわ。追加料金払ろたらええねんろ?」
眠りを妨げられて不機嫌モード満載の泉さんはそう言って電話を叩き切った。
「よく寝ましたね。寝過ぎ?夜、ますます眠れなくなりませんか?これ。」
あくびしながら私も起きた。
「せやな。こんだけ寝たん、久しぶりやわ。……腹減った。」
泉さんは珍しく晴れやかな笑顔を見せた。