今、鐘が鳴る
「でも、中沢さんに場内の案内してもらえばよかったなあ。俺、そっち側には行けへんから。」
「いや、いいよ。今日はもう充分。次の機会までに、ちょっと勉強しとくよ。」
……確かに、頃合いだろう。
私達は水島くんと別れて、駐車場に戻った。
車に乗り込もうとしてると、ものすごく荒い運転で土煙をあげて車が突進してきた。
「危ないな……百合子、早く乗って。」
碧生くんに促され、素早く乗り込む。
車は碧生くんの車すれすれに入ってきた。
そして、勢い余って前の壁に少し当たった!
「……当たらはった……」
「あれ、さっきの、水島の師匠?」
泉さん?
窓を開けて覗くと、何事もなかったかのように泉さんが車から降りた。
「大丈夫ですか?」
思わずそう声をかけた。
「何が?……ああ。別に。これぐらい、いつものことや。」
と、ケロッとしてる泉さん。
いつも、こんな運転をしてるの?
さっき水島くんの言ってた、事故点?ラフプレーの意味がちょっとわかった気がした。
でも車じゃなくて、自転車で荒い運転しちゃうと、身体が危ないんじゃないだろうか。
泉さんは、車の後ろから自転車を出して軽々とかついだ。
「ほな。……ああ、来週、京都走るから、見に来いや。最終日やったら飯、おごったるわ。」
京都……最終日……。
どう返事すればいいかわからず、碧生くんを見た。
「ありがとうございます。でも、俺、東京に帰りますんで。……さすがに百合子1人で行かせるわけにもいきませんし。」
ちょっとホッとしてうなずいた。
「……過保護やな。特観入っとったら、どうもないわ。ま、ええわ。」
呆れたように泉さんはそう言って、さっさと行ってしまった。
とっかん、って何だろう。
最終日ってことは、レースは1日じゃないんだ。
「なんか……異次元で宇宙人に会った気分。」
車を出した碧生くんにそう言った。
「……怖かった?」
そう聞かれてちょっと考えた。
「そうね。泉さんは、ちょっと怖かったかも。」
「ごめんね。こんなはずじゃなかったのに、変なことに付き合わせちゃって、怖い想いまでさせて。」
碧生くんにそう謝られて、私は違和感を覚えた。
……確かに予定外だったのだろうけど、別に嫌じゃなかったわ。
むしろ、知らない世界すぎて、おもしろかったのかもしれない。
「碧生くんが京都に来てからずっと振り回されてるから、別に今日もこれまでと変わらないけど?」
そう言うと、碧生くんは苦笑した。
「そっか。百合子にとっては、同じなんだ。」
「いや、いいよ。今日はもう充分。次の機会までに、ちょっと勉強しとくよ。」
……確かに、頃合いだろう。
私達は水島くんと別れて、駐車場に戻った。
車に乗り込もうとしてると、ものすごく荒い運転で土煙をあげて車が突進してきた。
「危ないな……百合子、早く乗って。」
碧生くんに促され、素早く乗り込む。
車は碧生くんの車すれすれに入ってきた。
そして、勢い余って前の壁に少し当たった!
「……当たらはった……」
「あれ、さっきの、水島の師匠?」
泉さん?
窓を開けて覗くと、何事もなかったかのように泉さんが車から降りた。
「大丈夫ですか?」
思わずそう声をかけた。
「何が?……ああ。別に。これぐらい、いつものことや。」
と、ケロッとしてる泉さん。
いつも、こんな運転をしてるの?
さっき水島くんの言ってた、事故点?ラフプレーの意味がちょっとわかった気がした。
でも車じゃなくて、自転車で荒い運転しちゃうと、身体が危ないんじゃないだろうか。
泉さんは、車の後ろから自転車を出して軽々とかついだ。
「ほな。……ああ、来週、京都走るから、見に来いや。最終日やったら飯、おごったるわ。」
京都……最終日……。
どう返事すればいいかわからず、碧生くんを見た。
「ありがとうございます。でも、俺、東京に帰りますんで。……さすがに百合子1人で行かせるわけにもいきませんし。」
ちょっとホッとしてうなずいた。
「……過保護やな。特観入っとったら、どうもないわ。ま、ええわ。」
呆れたように泉さんはそう言って、さっさと行ってしまった。
とっかん、って何だろう。
最終日ってことは、レースは1日じゃないんだ。
「なんか……異次元で宇宙人に会った気分。」
車を出した碧生くんにそう言った。
「……怖かった?」
そう聞かれてちょっと考えた。
「そうね。泉さんは、ちょっと怖かったかも。」
「ごめんね。こんなはずじゃなかったのに、変なことに付き合わせちゃって、怖い想いまでさせて。」
碧生くんにそう謝られて、私は違和感を覚えた。
……確かに予定外だったのだろうけど、別に嫌じゃなかったわ。
むしろ、知らない世界すぎて、おもしろかったのかもしれない。
「碧生くんが京都に来てからずっと振り回されてるから、別に今日もこれまでと変わらないけど?」
そう言うと、碧生くんは苦笑した。
「そっか。百合子にとっては、同じなんだ。」