今、鐘が鳴る
その後、由未さんが表立ってからかわれたり、馬鹿にされたりすることはなかった。
既に雪がやんでいたのでお庭を見せていただいたけれど、本来の目的のはずのお庭の梅には雪が積もっていた……観梅を謳いながら雪を払うことも、代わりに盆梅を飾ることもしないのね。
立派なお道具と珍しいお菓子を楽しむ会、なのだろう。
……拝金主義らしいお茶会。
辞去した後、お迎えに来た恭匡さんにハッキリと言った。
「こちらのお茶会は、次からお断りしても差し支えないと思います。……意味をなさない集まりでしたわ。ね?」
由未さんは、大きくうなずいた。
「百合子さん、ありがとう。……あんな風に言ってくれて、スッとした。」
「……百合子、何言ったの?……怖いな。」
苦笑する恭匡さんを無視して、由未さんに言った。
「さっき言ってた宗和流ですけど、由未さんも習ってみないかしら?ちょうど若宗匠が4月から東京にお教室を開かれることになっているの。」
「え!?百合子、4月から東京にしょっちゅう来るの!?」
碧生くんが目を輝かせてそう聞いた。
……そんなわけないでしょう。
「いいえ。私は京都で若宗匠に教わりますから。」
つーんとそっぽを向いてそう言ったけれど、碧生くんはやはりめげない人だ。
「ざーんねん。ま、いっか。同じ先生に習えば、百合子の話も聞けるだろ。俺も習う!由未、一緒に通おうぜ。」
「えー、碧生くんと一緒~?ちょっと嫌~。」
「いいじゃん!な~、習おう~。」
……碧生くんは恭匡さんとだけじゃなく、由未さんとも仲良しらしい。
言い合ってる2人を楽しそうに見ている恭匡さんに辞去の挨拶をした。
「では、恭匡さん。私はこれで。またお役に立てそうなことがありましたらお知らせください。ごきげんよう。」
「ありがとう。叔母さまによろしく。あ、百合子!碧生くんが東京駅まで送るから。待って。」
……別にいいのに。
「タクシーで帰りますわ。」
「そう言わないで。せっかく車を取り寄せたんだから。」
碧生くんが鍵を振り回しながらそう言った。
ああ、なんてチャラい仕草!
車も左ハンドルのスポーツタイプで、軽薄この上ない!
「……取り寄せたって、どこの車ですの?」
碧生くんの車は、赤色の少し丸めのフォルムのスポーツカーだ。
「これ?日産だよ。States(合衆国)で作って販売してるUS日産のGT-Rを逆輸入したんだ。」
逆輸入。
持ち主と同じね……派手な外見なのに日産車。
「京都まで送ろうか?」
冗談じゃなく本気でそう言う碧生くんに苦笑いして首を振った。
既に雪がやんでいたのでお庭を見せていただいたけれど、本来の目的のはずのお庭の梅には雪が積もっていた……観梅を謳いながら雪を払うことも、代わりに盆梅を飾ることもしないのね。
立派なお道具と珍しいお菓子を楽しむ会、なのだろう。
……拝金主義らしいお茶会。
辞去した後、お迎えに来た恭匡さんにハッキリと言った。
「こちらのお茶会は、次からお断りしても差し支えないと思います。……意味をなさない集まりでしたわ。ね?」
由未さんは、大きくうなずいた。
「百合子さん、ありがとう。……あんな風に言ってくれて、スッとした。」
「……百合子、何言ったの?……怖いな。」
苦笑する恭匡さんを無視して、由未さんに言った。
「さっき言ってた宗和流ですけど、由未さんも習ってみないかしら?ちょうど若宗匠が4月から東京にお教室を開かれることになっているの。」
「え!?百合子、4月から東京にしょっちゅう来るの!?」
碧生くんが目を輝かせてそう聞いた。
……そんなわけないでしょう。
「いいえ。私は京都で若宗匠に教わりますから。」
つーんとそっぽを向いてそう言ったけれど、碧生くんはやはりめげない人だ。
「ざーんねん。ま、いっか。同じ先生に習えば、百合子の話も聞けるだろ。俺も習う!由未、一緒に通おうぜ。」
「えー、碧生くんと一緒~?ちょっと嫌~。」
「いいじゃん!な~、習おう~。」
……碧生くんは恭匡さんとだけじゃなく、由未さんとも仲良しらしい。
言い合ってる2人を楽しそうに見ている恭匡さんに辞去の挨拶をした。
「では、恭匡さん。私はこれで。またお役に立てそうなことがありましたらお知らせください。ごきげんよう。」
「ありがとう。叔母さまによろしく。あ、百合子!碧生くんが東京駅まで送るから。待って。」
……別にいいのに。
「タクシーで帰りますわ。」
「そう言わないで。せっかく車を取り寄せたんだから。」
碧生くんが鍵を振り回しながらそう言った。
ああ、なんてチャラい仕草!
車も左ハンドルのスポーツタイプで、軽薄この上ない!
「……取り寄せたって、どこの車ですの?」
碧生くんの車は、赤色の少し丸めのフォルムのスポーツカーだ。
「これ?日産だよ。States(合衆国)で作って販売してるUS日産のGT-Rを逆輸入したんだ。」
逆輸入。
持ち主と同じね……派手な外見なのに日産車。
「京都まで送ろうか?」
冗談じゃなく本気でそう言う碧生くんに苦笑いして首を振った。