秘密の片思い　番外編④
今日、顔を見せに行くことは以前お世話になった君島編集長には伝えてある。

どうせなら由奈ちゃんを驚かせようと言って、私が行くことを内緒にしている。

でも、驚いてくれるのかな？

『週刊ゴシップ』編集部のドアをノックして顔をのぞかせると、ちょうどこちらへ向かってきていた由奈ちゃんとばったり鉢合わせした。


「えっ……？　あ、……あ……い……さん……？」


くりっとした目を最大限に大きくさせた由奈ちゃんは、驚いている。

ショートカットだった髪はかなり伸びて大人っぽくなっていた。

まるで幻を見ているように動かなかった由奈ちゃんは、私がにっこり頷いた瞬間「キャーッ！」と叫び声を上げて抱きつく。


「愛さんっ！　愛さんっ！」

「由奈ちゃん、久しぶり。頑張っているんだね」


私は由奈ちゃんの身体をぎゅっと抱きしめた。由奈ちゃんのサラサラっとした髪が手の甲に当たる。


「髪も伸びたね」


興奮冷めやらぬ由奈ちゃんの身体をそっと離して顔をよく見る。


「愛さん、相変わらずキレイ！」

「由奈は城崎……あー、朝倉さんだったな。朝倉さんのまねで髪を伸ばしているんだよな」


ふいに懐かしむ私たちの耳に聞こえてきたのは君島編集長の低く、腰に響きそうなダンディーな声。


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