秘密の片思い 番外編④
「君島編集長、ご無沙汰しています。お元気そうですね。髪が……」
君島編集長に視線を動かすと、私は目をぱちくりさせた。
「あ、愛さんっ、驚いちゃいましたか? 編集長、ロマンスグレーの親父になったでしょう? わざとグレーに染めているんですよ」
由奈ちゃんが笑って得意げに話す。
白髪と混じったグレー色でますます大人の男性の雰囲気に。額から撫でつけた量のある髪がそんな色だけど、年齢より若く見せている。
「ステキです」
私が褒めると、君島編集長は照れくさそうに鼻をかいた。
「こんなところで立ち話も疲れるだろう。中へ入れ」
「はいっ!」
『週刊ゴシップ』編集部は相変わらず人が出払っているようで、ふたりをのぞいたらひとりしかいなかった。しかも隅の方でパソコンの画面をにらむようにしていて、存在が薄い。
私が働いていた時にはいなかった男性だ。
黒革合皮素材のソファセットは以前と変わっていなくて、年季が入ったものになっている。
そこに腰を下ろすと、対面に君島編集長が座る。
「愛さん、今コーヒー買ってきますね!」
自分のデスクからすぐに戻ってきた由奈ちゃんが、お財布を片手に出て行こうとしている。
君島編集長に視線を動かすと、私は目をぱちくりさせた。
「あ、愛さんっ、驚いちゃいましたか? 編集長、ロマンスグレーの親父になったでしょう? わざとグレーに染めているんですよ」
由奈ちゃんが笑って得意げに話す。
白髪と混じったグレー色でますます大人の男性の雰囲気に。額から撫でつけた量のある髪がそんな色だけど、年齢より若く見せている。
「ステキです」
私が褒めると、君島編集長は照れくさそうに鼻をかいた。
「こんなところで立ち話も疲れるだろう。中へ入れ」
「はいっ!」
『週刊ゴシップ』編集部は相変わらず人が出払っているようで、ふたりをのぞいたらひとりしかいなかった。しかも隅の方でパソコンの画面をにらむようにしていて、存在が薄い。
私が働いていた時にはいなかった男性だ。
黒革合皮素材のソファセットは以前と変わっていなくて、年季が入ったものになっている。
そこに腰を下ろすと、対面に君島編集長が座る。
「愛さん、今コーヒー買ってきますね!」
自分のデスクからすぐに戻ってきた由奈ちゃんが、お財布を片手に出て行こうとしている。