秘密の片思い 番外編④
「あ! いいの、いらないから」
「でもせっかく来てくれたんですよ? ちょっと待っててください」
「だったらその出来ているコーヒーでいいから」
パーコレータにはちょっと濃くなってしまったコーヒーがあった。
そういっても渋る由奈ちゃんは君島編集長に言われて、渋々マグカップにそのコーヒーを淹れて手渡してくれた。
「ごめんなさい。美味しくないですよ」と言う由奈ちゃんに笑みを浮かべて、コーヒーを口にした。
「すごく懐かしい味がするよ」
『サンウォーク』編集部から異動になって、畑違いのこの編集部でがんばっていたあの頃だ。
濃くて苦いコーヒーが原動力になっていた。
この編集部ではあまり働けなかったけれど、最後の職場になったせいか『サンウォーク』編集部よりこちらの方が思い出深いものがある。
「愛さん、旦那様すごいですね! ほんと、カッコいい旦那様! ワールドカップ予選、応援に行ったんですよ」
「そうだったんだ。由奈ちゃんに連絡とればよかったね」
「いつイギリスへ戻るんですか? 愛さん、お願いがあるんですが、今度来た時に朝倉選手のサインもらえますか?」
サッカー大好き女子の由奈ちゃんは願いを込めるような瞳で私を見つめてくる。
「おいおい、由奈。お前食いつきすぎだぞ」
「あ……」
我に返った由奈ちゃんは「ははは」と舌を出す。
「でもせっかく来てくれたんですよ? ちょっと待っててください」
「だったらその出来ているコーヒーでいいから」
パーコレータにはちょっと濃くなってしまったコーヒーがあった。
そういっても渋る由奈ちゃんは君島編集長に言われて、渋々マグカップにそのコーヒーを淹れて手渡してくれた。
「ごめんなさい。美味しくないですよ」と言う由奈ちゃんに笑みを浮かべて、コーヒーを口にした。
「すごく懐かしい味がするよ」
『サンウォーク』編集部から異動になって、畑違いのこの編集部でがんばっていたあの頃だ。
濃くて苦いコーヒーが原動力になっていた。
この編集部ではあまり働けなかったけれど、最後の職場になったせいか『サンウォーク』編集部よりこちらの方が思い出深いものがある。
「愛さん、旦那様すごいですね! ほんと、カッコいい旦那様! ワールドカップ予選、応援に行ったんですよ」
「そうだったんだ。由奈ちゃんに連絡とればよかったね」
「いつイギリスへ戻るんですか? 愛さん、お願いがあるんですが、今度来た時に朝倉選手のサインもらえますか?」
サッカー大好き女子の由奈ちゃんは願いを込めるような瞳で私を見つめてくる。
「おいおい、由奈。お前食いつきすぎだぞ」
「あ……」
我に返った由奈ちゃんは「ははは」と舌を出す。