君を選んだから
結果として、「ニセ彼女」は上手く行きすぎて後へ引けなくなるレベルの上出来。

俺に彼女ができたことをみんな嬉しそうに祝福してくれたし、呆気なく簡単に騙せたことに笑ってしまった。

最も、陽奈さんがあんなに喜んでたことだけは、俺の中ではちょっと誤算だったけど。


だからと言って、こんな茶番にあいつを縛り付けておくのはやっぱり良くない。

楽しいって言ってくれるのは有り難いけど、あいつにだって好きな男がいるのに、いつまでも俺のワガママに付き合わせておく訳には行かないだろう。


兄貴たちが沖縄に行ってしまったら、もういいよな。

今度はあいつのために、俺が協力してやらないと。


今日は兄貴が来れなくなったから、結局、お祝いじゃなく、ただの食事会という名目に変更になった。

うちの両親と陽奈さんと俺らで、仲良くすき焼きを囲んだ。


普通にみんな楽しそうで、こうしていると本当にこのメンバーで収まっちゃうのが一番いいのかななんて、本気で思えて来る。

好きな人がいて、一番頼りになって常にそばにいてくれる女の子もいて、俺にとっては居心地がいい。

居心地がいいと同時に、隠した気持ちや嘘も混在する少し歪んだ空間でもあったりするんだけど。


それを全部バラしちゃったら、今より楽になれるのかな。

そうかもしれないけど、それにはまだまたま心の準備が必要だ。


とりあえず、今日、あいつに陽奈さんのことを話してみようかな。

恐らく既にバレてるだろうから、改めてドン引きされるようなこともないだろうし。

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