君を選んだから
その気持ちだけは揺るがない。

もちろん、須賀くんが迷惑じゃなければだけど。


だから、思い切って聞いてみた。

須賀くんが選んでくれた、お洒落過ぎて同僚たちがあまりお昼に来ない感じのカフェのテラス席で、向かい合って。


「あのさ、私の須賀くんへの気持ちって、今まで気付いてた?」

「気付いてなかった。ごめん。」

「ううん、いいの。私もできるだけ出さないようにしてたから。バレちゃったら、そばに居づらくなっちゃうのかなと思って..........。」

「そんなことないよ。」

「そう? .......でもね、須賀くんが今もこうしてくれてるから、ちょっとだけ自信がついた。これからも今まで通りにしてていい?」

「当たり前だろ。」

「ホント? 好きな気持ちは変えられないと思うけど、迷惑じゃない?」

「なんで迷惑なんだよ。そんな訳ないじゃん。むしろ、嬉しかった。」

「..........。」

「好きな気持ちを変えられないのは俺も同じだから、お前に嫌な思いさせちゃうかもしれないけど、それでも一緒にいてくれるなら、今まで通り、そうしてほしい。」

「.......いいの?」

「っつうかさ、俺の方が聞きたいんだけど。こんな図々しいお願い、本当に聞いてもらっていいの?」

「うん。だって、そうしたいから。」

「........そう。わかった。ありがとう。」


あぁ、もうダメだ。

勝手に目が潤んで来ちゃった。

だから、泣かないように唇をギュっと結んだら、テーブルの端にちょこんと乗せていた手の甲を、須賀くんの左手が包みこんだ。

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