君を選んだから
「おっ、お疲れ。今日はありがとう。おかげでまだ夕方なのに、もうすぐ予算達成できそう。」

「へぇ、スゴイね。やったじゃん。」

「まぁね。」

「頑張ったかい、あったね。」


こういう笑顔なら見慣れてる。

仕事に没頭してる「働く男の人」の顔じゃなくて、やんちゃ坊主みたいなキュートな笑顔。

ついさっきまでのお仕事モードの顔とのギャップには、ちょっとドキっとしてしまうけど。


「俺さ、あおいがいてくれると心強い。本当は怖いのに、よしっ!! イケる、頑張れる、って思っちゃう。」

「そんなに弱気?そうは見えないよ。」

「みんなの前では、そんなん、ぜってー言えねーもん。だから、お前に大丈夫って言ってもらえると、すげー安心するし、こんなこと、お前にしか言えない。」

「..........。」

「って、何か情けないこと言っちゃった。」

「そんなことないよ。」

「そう?」

「一生懸命プレッシャーと戦って、見事に払い除けてる匡史はカッコ良いよ。」

「ホント?」

「うん。惚れ直しちゃいそう。」

「マジ? やった。」


笑いながら匡史が私の頭を手の平で包みこみ、クシャクシャっとしてみせる。

ニッコリされると、何だか私まで気が抜けてしまう。


「明日もよろしくな。」

「うん、頑張ろうね。」

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