君を選んだから
二日目は初日より若干売り上げが落ちたものの、概ね順調だった。

客数がこれだけあるのは、やっぱり大型モールの中にある強みなのかな。


匡史は今日も忙しそう。

一日中、本部の偉いおじさんたちにいろいろ言われて、まだ全然仕事ができないおばちゃんたちの面倒を見て。


あれじゃ疲れちゃうよね。

お仕事中の匡史はカッコ良いけど、オープンしてからの匡史は笑ってないもん。

私に甘えてる時だけ笑えるっていうなら、いくらでも愚痴らせてあげるし、支えてあげたい。


そんな気持ちで一日働いて、帰る時にまた嬉しそうに笑顔を見せられると、何とも切ない気持ちになって来る。

昨日と同じく、頭をクシャクシャっとした後、一瞬、笑顔がなくなって、じっと私を見てるから、何か言いたいことがあるんじゃないかと、ついつい心配をしてまう。


匡史は今日もきっと、閉店まで帰れないんだろう。

毎日、朝も早いし、そろそろ体力的にもキツいよね。


お店が落ち着いたら、飲みにでも誘ってみようかな。

言いたいことがあるなら、ゆっくり聞いてあげたいし。


明日で応援はラストだけど、匡史の戦いはまだしばらく続くんだもんね。

軌道に乗るまでは優先的に巡回するつもりだし、考えてみたら匡史のアパートだってうちの営業所の近くじゃない。

せっかく手が届く所にいるんだから、これからも元カノとして、できる限りの手助けをしてあげよう。

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