君を選んだから
「葉山さん、ここの担当でしょ? じゃあ、またいつか会えるかな。」

「多分。」

「ジャンジャン売ってましたよね。うちにスカウトしたいくらい。」

「そうですか?」

「ええ。今度会ったら、お茶しましょうね。」

「え?あ、はい。」


お兄さんはお近付きのしるしに、お洒落なパッケージのマカロンまでくれた。

これはやっぱり、女性が多数を占める会社ならではなのかな。

何かいろいろとカルチャーショック。

主任に報告したら、なんて言うだろう。


そうこうしているうちに、応援終了の時間まであと僅か。

今日も匡史は、頭をクシャクシャして笑ってくれるのかな。


明日からは大丈夫かな。

ストレスが溜まって、パンクしそうにならないかな。

弱々しいことを言ってる姿を思い浮かべると、また心配になって来る。


でも、あんまり言い過ぎると気にしちゃうかもしれないし、家族でも彼女でもないのにおかしいよね。

頼られるのは嬉しいけど、冷静に考えると、元カノっていう立ち位置が難しい。


勤務終了時刻になり、後片付けをした後に、本来の担当区域である洗剤やらシャンプーやらの売り場を細かくチェックしながら歩いてみた。

ここは、思ってた以上に売れちゃう店になりそうだ。

大変そうだけど、やりがいはあるはず。

匡史と一緒に、これから頑張って行こう。

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