君を選んだから
匡史が笑顔で右手を高く上げて掲げ、ハイタッチの体制で構えた。

だから、嬉しくなって私も手を上げ、その手にパチンとしたら..........


そのまま手のひらをギュっと掴まれ、腕を引かれ、次の瞬間には、匡史に抱きしめられていた。

えっ!? ちょっと、何やってんの!?

誰か来たら、マズいって!!


驚き過ぎて身体が硬直してる。

ものすごいスピードで心臓が動き始めてるのがわかる。


一体、何が起こってるの?

ちょっと、嘘でしょ!?

匡史、いきなりどうしちゃったの..........


「あおい、本当にありがとう。あおいがいてくれたから、準備期間からずっと頑張れた。」

「..........。」

「毎日、お前が笑ってるの見て、すげーホっとした。」

「..........。」

「明日から、お前、いないんだよな。何か寂しい。須賀くんが羨ましい.......。」

「.......匡史?」


急にそんなこと言われても..........


って言うか、なんで? どうして?

匡史にとって、今の私ってどんな存在?


元カノだから頼ってるんじゃないの?

弱音が言えるんじゃないの?

それとはまた、ちょっと違ってるの?


どうしていいかわかんないよ。

突然、こんなことされたら。


もう須賀くんも来ちゃうし、誰かに見られてたら困るの匡史じゃん。

これってどう解釈すればいいの...........?

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