君を選んだから
「これ、良かったら、受け取って。」

「え? ちょっと、何?」

「開けたらわかるよ。きっと。」

「うん..........。」


渡されたのは、有名ジュエリーブランドの小さなショッビングバッグ。

中には白いリボンがかけられた箱が入っている。


これ、どうしたの?

多分、結構、いい値段がするよね?

突然のプレゼントに、ちょっと戸惑う。


「うわぁ、カワイイ。」

「付けてあげるよ、貸して。」

「え、でも、これ、どうしたの? どうして?」

「覚えてない?」

「へっ? 」


匡史は箱の中から、華奢なデザインのペンダントを取り出した。

二枚重なったハートを少しずらすと、下の一枚には小さな淡い水色の石と「AOI」の文字が見える。


思い出した。

これは私が高校生の時、憧れていたペンダントだ。

だけど、到底、高校生に買える代物ではなかったから、デートの時にウインドウから眺めていた。

まさか、それを覚えていて..........


「これさ、高3のお前の誕生日に間に合うよう、死ぬ気でバイトして買ったんだ。そのせいであんまり会えなくなって、結局、ケンカの原因になっちゃったけど、大阪行く前に、どうしても渡したかったんだよね。」

「..........うそ。」

「嘘じゃないよ。プロポーズじゃないけどさ、何か形の残るものを渡して、離れててもずっと一緒だよって言いたかった。」

「..........。」

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