君を選んだから
「ちなみに、大地さんも、お母さんも同じこと言ってたよ。」

「マジ?」

「沖縄行っても、郁海がああなら心配ないねって、さっきも大地さん、言ってたし。」

「あ、ねぇ、陽奈さんは、寂しくないの?うちの家族とか、友達と別れるの。」

「寂しくないよ。その分、向こうでも友達作るし、大地さんと一緒だもん。」

「でも、兄貴、すぐ密林とかに篭っちゃうじゃん。」

「そしたら、一緒に篭って、助手でもやるよ。」

「何、それ。」

「そのくらい私にとっては大地さんが大事だし、好きなことに没頭させてあげたいし、ものすごく信頼してるから、全然そんなの気にならないの。」

「何か、すごいね。」

「すごくないよ。郁海くんにだって、そういう存在がいるじゃない。私、郁海くんのこと、ず〜っと見てたから、今が一番イイ顔してるって断言できるもん。」

「..........。」

「だから、もう、私がいなくても平気だね。私なんかより、よっぽどステキな子じゃん。」

「.........陽奈、さん?」

「これからもカワイイ弟でいてね。お義姉さんは、沖縄から弟の幸せを祈ってる。」

「..........。」


ちょっと待て。

これは一方的なサヨナラなのか。

だけど、初めて、俺が陽奈さんを思っていることを、口に出して認めてくれたような。


そうだよな。

いつまでもグチグチ悩んでたら、前には進めないってことだよね。

すぐに全部を忘れることはできないけど、陽奈さんの方から、フってくれたことに感謝しなくちゃ。

自分で終わらせる努力をしなければ、いつまでも終われないんだよな..........

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