君を選んだから
陽奈さんの言葉で、意識が変わった。

どんなに頑張っても想いが届かないってわかってるのに、それを恨んでいたところで何も解決しない。


ずっとずっと好きだったから、すぐには忘れられないけど、それでも凝り固まっていた陽奈さんへの気持ちが少しずつ解れてくれれば、俺は前に進める。

進むきっかけをくれたのは、やっぱりあいつなのかな。

陽奈さん以外の女の子が、こんなに気になるのはいつ以来だろう。


今まで俺がこんなに苦しんでたのは、「好き」って、陽奈さんに、一度も伝えられなかったからかもしれない。

だけど、今日、ちゃんとわかった。

陽奈さんに俺の「好き」は届いてた。

それがわかっただけでも、こんなに気持ちが楽になるものなんだ。


言えなくても、陽奈さんはわかってくれてた。

わかった上で、もうお終いにしようって区切りをくれた。

だから、いつまでもしがみついてちゃいけないんだ。

辛くて暗いだけの思い出に。


想いが完全に消えるまでには少し時間がかかるだろうけど、もう大丈夫って、胸を張って言える。

あいつがそばにいてくれたら、大抵のことは何とかなる気がする。


そう思えるくらい、俺はあいつに頼ってる。

それは、いつか「好き」に繋がって行くのかな。

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