君を選んだから
「すげーな、お前。バッチリじゃん。」

「え、そう?」


声のする方向に顔を向けると、ニヤニヤしている須賀くんと目が合った。

あれ? 今のやり取り、おかしかった?

適度に礼儀がなってる彼女って、あんな感じでいいんだよね.......?


「やっぱ、お前に頼んで良かったわ。絶対、お母さん、おまえのこと、気に入ってる。」

「ほんと? あれで大丈夫だった?」

「うん。気に入られ過ぎて、また連れて来いって言われそう。」

「そう、かな?」


なぁ~んてね。

やった。 それ狙ってるんで、そう言っていただけるんなら大成功。


あぁ、やっぱり彼女役って楽しい。

本当にお嫁さんになったらって想像するだけでも、かなりテンションが上がる。


何より、仕事以外で、こんなに長い時間、堂々と須賀くんのそばにいられるのが嬉しい。

須賀くんが冷蔵庫から出したビールを氷の入ったクーラーボックスに詰めて行くだけでも、私にすれば、ウキウキしちゃう共同作業だ。


普段、ペアになって二人でやることって言ったら、届いた商品の検品とか、取引先応援の棚卸しくらいだもん。

そういうの関係無しに、一緒にいていいなんて最高。

「フリ」なんかじゃなくて、本物の彼女になれたらいいのにな..........

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